pywinautoを使ってウィンドウを取得するメリット
「pywinauto ウィンドウ 取得」というキーワードで検索してきたあなたは、おそらく以下のようなニーズをお持ちではないでしょうか?
- Windowsアプリケーションの特定のウィンドウを操作する方法を知りたい
- 業務で利用しているアプリケーションを自動化したい
- GUI操作をスクリプト化して、手動作業を効率化したい
- 無料で利用できるPythonライブラリを使いこなしたい
この記事では、pywinautoを使ってウィンドウを取得し、自動化に活用するための知識を提供しています。
pywinautoとは?
pywinautoは、PythonでWindowsアプリケーションを自動化するためのライブラリです。WindowsのGUIアプリケーションの操作をスクリプト化することで、業務の効率化やテストの自動化が可能になります。マウスクリックやキーボード入力、ウィンドウの移動・サイズ変更といった基本操作から、より高度なUI要素の操作まで幅広くサポートしています。
pywinautoでできること
- アプリケーションの起動・終了
- ボタンのクリックやテキストボックスへの入力
- リストやドロップダウンメニューの操作
- ウィンドウやダイアログの管理
- UI要素のプロパティ取得
これらの機能を活用することで、手動操作を完全に置き換えられるスクリプトを作成できます。
pywinautoとほかのRPAライブラリとの違い
近年、RPAツールとして有名なものには、UiPathやBlue Prism、Automation Anywhereなどがあります。これらのツールと比較した場合、pywinautoには以下のような特徴があります。
特徴 | 詳細 |
---|---|
1. プログラミングベースでの柔軟性 | pywinautoは完全にコードベースで動作するため、GUIベースで操作するRPAツールに比べて、細かい制御が可能です。一方で、プログラミングの知識が必要なため、初心者にはハードルが高いかもしれません。 |
2. 完全無料・オープンソース | pywinautoはオープンソースであり、完全無料で利用できます。有償のRPAツールと異なり、ライセンス費用を気にせずに利用できるのが大きな利点です。 |
3. Windowsアプリケーションに特化 | pywinautoはWindows専用のツールであり、特にネイティブアプリケーションの操作に強みを持っています。Webアプリケーションの自動化を主目的とする場合は、SeleniumやPlaywrightといったツールの方が適しています。 |
4. 軽量でシンプル | 他の大規模なRPAツールに比べ、pywinautoはインストールが簡単で、すぐに使い始められます。開発プロジェクトに組み込みやすく、小規模なタスクの自動化にも向いています。 |
なぜpywinautoを選ぶべきなのか
もしあなたが、Windowsアプリケーションの自動化に特化したシンプルなソリューションを探しているなら、pywinautoは最適な選択肢です。特に以下のニーズを持つ場合におすすめです。
- 無料で使えるツールを探している
- 細かいカスタマイズやプログラミングが必要
- ネイティブなWindowsアプリケーションの操作が中心
インストール方法
pywinautoを使用するには、まずPythonがインストールされている必要があります。また、推奨されるPythonのバージョンと依存関係についても確認しておきましょう。
Pythonのバージョン
pywinautoは、Python 3.6以上で動作します。最新の安定版Pythonを使用することをお勧めします。
インストール手順
pywinautoのインストールは非常に簡単で、Pythonのパッケージ管理ツールであるpip
を使用します。以下のコマンドを実行してください:
pip install pywinauto
インストールが成功したら、pywinautoが正しくインストールされているかを確認するために、Python環境で次のコマンドを試してください:
import pywinauto
print(pywinauto.__version__)
pywinautoのバックエンドの説明
pywinautoには、win32とuia(UI Automation)という2つのバックエンドがあります。それぞれ異なる仕組みでWindowsアプリケーションを操作するため、アプリケーションの種類や目的に応じて適切なバックエンドを選ぶことが重要です。
win32バックエンド
win32バックエンドは、WindowsのネイティブAPIであるWin32 APIを使用して、アプリケーションを操作します。このバックエンドは、古くから存在する多くのデスクトップアプリケーションで動作し、軽量かつ高速です。
特徴
- 軽量で高速な操作が可能
- 古いアプリケーション(Win32ベース)やC++で開発されたアプリケーションに適している
- UI要素が基本的なウィンドウハンドル(HWND)に基づいて認識される
使用例
以下のようなアプリケーションにwin32バックエンドが適しています:
- 古いWindowsソフトウェア(例: メモ帳、電卓)
- システム設定ツールやデスクトップアプリケーション
uiaバックエンド(UI Automation)
uiaバックエンドは、Microsoftが提供するUI Automation(UIA)インターフェースを利用して操作を行います。これは、より新しいアプリケーションや、アクセシビリティ対応のUI要素に特化しています。
特徴
- モダンなアプリケーション(WPF、UWP、WinFormsなど)に対応
- アクセシビリティ対応のUI要素を認識可能
- 一部のWebViewコンポーネントやモダンUIに対して柔軟性が高い
使用例
以下のようなアプリケーションにuiaバックエンドが適しています:
- モダンなWindowsアプリ(例: 設定アプリ、Edgeブラウザ)
- アクセシビリティ対応が必要な場合
- WPFやUWPベースのアプリケーション
バックエンドの選択方法
バックエンドを選択するには、pywinautoのアプリケーションオブジェクトを初期化する際に指定します:
from pywinauto import Application
# win32バックエンドを使用
app = Application(backend="win32").start("notepad.exe")
# uiaバックエンドを使用
app = Application(backend="uia").start("notepad.exe")
初めて使用するアプリケーションの場合、どちらのバックエンドが適しているかを試してみるのが良いでしょう。
ウィンドウの取得方法
pywinautoを使用してアプリケーションのウィンドウを取得するには、ウィンドウタイトルやクラス名を指定する方法が一般的です。また、アプリケーションの構造に基づいて階層的に要素を操作することも可能です。以下に、具体的な例を交えて解説します。
1. ウィンドウタイトルでの指定
アプリケーションのウィンドウタイトルを使用してウィンドウを指定する方法です。
from pywinauto import Application
# アプリケーションを起動
app = Application(backend="win32").start("notepad.exe")
# ウィンドウタイトルでウィンドウを取得
window = app.window(title="無題 - メモ帳")
2. クラス名での指定
特定のクラス名を持つウィンドウを指定することも可能です。この方法は、タイトルが動的に変化する場合や、特定のウィンドウクラスをターゲットにしたい場合に役立ちます。
# クラス名でウィンドウを取得
window = app.window(class_name="Notepad")
# テキストボックスに文字を入力
window.Edit.type_keys("Hello, pywinauto!", with_spaces=True)
3. 階層的な指定方法
アプリケーション内の特定の要素を階層的に指定することができます。これは、複雑なUI構造を操作する場合に便利です。
# メインウィンドウを取得
main_window = app.window(title="無題 - メモ帳")
# 階層的にUI要素を取得
edit_box = main_window.child_window(class_name="Edit")
# テキストを操作
edit_box.type_keys("This is a test.", with_spaces=True)
4. 検索条件を組み合わせた指定
ウィンドウタイトルやクラス名を組み合わせて指定することも可能です。
# 複数条件を指定してウィンドウを取得
window = app.window(title_re=".*メモ帳.*", class_name="Notepad")
5. アプリケーション内のすべてのウィンドウを列挙
アプリケーション内のウィンドウや要素を列挙して、取得可能なオブジェクトを確認することができます。
# アプリケーション内のウィンドウを列挙
for w in app.windows():
print(w.window_text())
pywinautoの window メソッドで指定できる引数
pywinautoの window
メソッドは、ウィンドウを取得するために使用され、以下の引数を指定して対象のウィンドウを特定します。
引数 | 説明 |
---|---|
title |
ウィンドウタイトルの完全一致で指定します。例: title="無題 - メモ帳" |
title_re |
ウィンドウタイトルを正規表現で指定します。部分一致やパターンマッチングが可能です。例: title_re=".*メモ帳.*" |
class_name |
ウィンドウのクラス名で指定します。例: class_name="Notepad" |
control_type |
UI Automationのコントロールタイプ(例: Button , Edit , ListItem )を指定します。主にUIAバックエンドで使用されます。 |
auto_id |
UI Automationで使用される一意の識別子(AutomationId )を指定します。例: auto_id="12345" |
control_id |
Win32コントロールの一意の識別子(ControlId )を指定します。主にwin32バックエンドで使用されます。 |
top_level_only |
トップレベルウィンドウのみを検索する場合はTrue (デフォルト値)。子ウィンドウも検索する場合はFalse に設定します。 |
visible_only |
可視状態のウィンドウのみを検索する場合はTrue (デフォルト値)。不可視のウィンドウも検索する場合はFalse に設定します。 |
enabled_only |
有効状態のウィンドウのみを検索する場合はTrue (デフォルト値)。無効なウィンドウも検索する場合はFalse に設定します。 |
注意点
ウィンドウタイトルやクラス名を指定する際、ターゲットウィンドウが正しく指定されていない場合があります。その場合は、正規表現を使用したり、UI要素のプロパティを確認して、適切な指定方法を選択してください。
応用事例
pywinautoは、Windowsアプリケーションを自動化する強力なツールとして、さまざまな業務効率化に役立てることができます。ここでは、具体的なシナリオをいくつか紹介します。
1. メモ帳でのテキスト入力と保存
メモ帳を自動化して、指定したテキストを入力し、保存する例です。
from pywinauto import Application
# メモ帳を起動
app = Application(backend="win32").start("notepad.exe")
# ウィンドウを取得
window = app.window(title="無題 - メモ帳")
# テキストボックスに文字を入力
window.Edit.type_keys("pywinautoで自動化を実行しています!", with_spaces=True)
# 保存ダイアログを開く
window.menu_select("ファイル(&F)->名前を付けて保存(&A)")
# 保存ダイアログの操作
save_dialog = app.window(title="名前を付けて保存")
save_dialog.Edit.type_keys("example.txt", with_spaces=True)
save_dialog.Button.click()
2. Excelの自動化
Excelファイルを開き、セルにデータを入力するシナリオです。
from pywinauto import Application
# Excelを起動
app = Application(backend="uia").start("excel.exe")
# メインウィンドウを取得
excel_window = app.window(title_re=".*Excel.*")
# 新しいワークブックを作成
excel_window.child_window(title="空白のブック").click()
# セルにデータを入力
excel_window.child_window(title="A1", control_type="DataItem").click_input()
excel_window.type_keys("100", with_spaces=True)
3. ファイルコピー操作の自動化
Windowsエクスプローラーを操作して、ファイルを別のフォルダにコピーする例です。
from pywinauto import Application
# エクスプローラーを起動
app = Application(backend="uia").start("explorer.exe")
# メインウィンドウを取得
explorer = app.window(title="エクスプローラー")
# コピー元フォルダを開く
explorer.address_bar.set_edit_text("C:\\source_folder")
explorer.type_keys("{ENTER}")
# ファイルを選択
explorer.child_window(title="example.txt", control_type="ListItem").click_input()
# コピー操作
explorer.type_keys("^c")
# コピー先フォルダを開く
explorer.address_bar.set_edit_text("C:\\destination_folder")
explorer.type_keys("{ENTER}")
# ペースト操作
explorer.type_keys("^v")
4. カスタム業務アプリケーションの自動化
特定の業務用アプリケーションを自動化する例です。UI要素を階層的に指定して操作します。
from pywinauto import Application
# アプリケーションを起動
app = Application(backend="win32").start("custom_app.exe")
# メインウィンドウを取得
main_window = app.window(title="業務アプリ")
# ログイン画面の操作
main_window.child_window(title="ユーザー名").type_keys("test_user")
main_window.child_window(title="パスワード").type_keys("password123")
main_window.child_window(title="ログイン").click()
これらの応用例を参考に、実際の業務フローに合わせたスクリプトを作成することで、繰り返し作業の効率化を図ることができます。
参考リンク:公式ドキュメント
pywinautoについてさらに学びたい方は、公式ドキュメントや関連資料を活用してください。詳細な使用例やAPIの説明が記載されています。
https://pywinauto.readthedocs.io/en/latest/
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