会議が終わった後、録音を聞き直したり、走り書きのメモを整理したりして議事録を作成する作業は、想像以上に時間がかかります。
会議の内容を正確に残そうとすると、発言を細かく記載しすぎて読みにくくなることがあります。反対に、簡潔にまとめようとすると、重要な決定事項や担当者、期限が抜けてしまう場合もあります。
このような議事録作成の負担を軽減する方法として、ChatGPTの活用が注目されています。会議音声を文字起こしした文章や、会議中に作成した簡単なメモを入力することで、内容を項目別に整理できます。
ただし、ChatGPTへ情報を貼り付けて「議事録を作成してください」と指示するだけでは、正確で使いやすい議事録になるとは限りません。発言と決定事項が混同されたり、原文にない情報が補足されたりする可能性があるためです。
精度の高い議事録を作るには、目的や出力形式、残すべき情報をプロンプトで具体的に指定し、最後に人の目で内容を確認する必要があります。
本記事では、ChatGPTを使って音声やメモから議事録を作成する基本的な流れ、プロンプト設計のポイント、実際に使える指示例を紹介します。
1.ChatGPTで議事録を作成する基本的な流れ
ChatGPTで議事録を作成する場合、最初に会議内容を文章として準備します。
ChatGPTへ音声の内容を伝えるには、録音データを文字起こしした文章が必要です。利用環境によっては音声ファイルを直接扱える場合もありますが、業務で安定して利用するには、文字起こし結果を確認してから入力する方法が適しています。
音声の文字起こしには、発言内容を細かく残せるメリットがあります。一方で、「えー」「その」「つまり」などの不要な言葉や、雑談、言い直しまで記録されることがあります。
そのため、文字起こし全文をそのまま議事録として使用するのではなく、ChatGPTで次の情報を整理させます。
- 会議の目的
- 主な議題
- 決定事項
- 担当者と期限
- 未解決の課題
- 次回までの対応事項
会議中に作成したメモも、議事録作成の材料になります。
たとえば、「新商品の公開日は10月」「田中さんが資料修正」「予算は再検討」などの簡単なメモでも、会議名や参加者、背景情報と合わせて入力すれば、読みやすい文章へ整理できます。
ただし、メモだけでは前後関係が分からないことがあります。決定した内容なのか、単なる提案なのかが不明な情報もあるでしょう。
この問題を減らすには、音声の文字起こしとメモを併用する方法が効果的です。
文字起こしから会話の流れを確認し、メモから重要事項を補足します。両方を入力する際は、どちらの情報を優先するかも指定しましょう。
たとえば、次のように伝えます。
「文字起こしを基に議事録を作成し、担当者が作成したメモを重要事項の補足として使用してください。内容が矛盾する場合は、判断せずに確認事項として記載してください」
議事録が出力された後は、必ず元の文字起こしやメモと照らし合わせます。ChatGPTが作成した内容は完成版ではなく、確認前の下書きとして扱うことが重要です。
2.正確で読みやすい議事録を作るプロンプトのポイント
議事録の品質を高めるには、ChatGPTに会議の前提を具体的に伝える必要があります。
まず、会議名、目的、日時、参加者を入力しましょう。前提情報があることで、発言内容を整理しやすくなります。
次に、出力してほしい項目を指定します。
単に「議事録を作成してください」と指示すると、会話の要約だけが出力される可能性があります。実務で必要な項目を明示することが大切です。
一般的な議事録では、次のような項目が使われます。
- 会議概要
- 議題
- 議論の要点
- 決定事項
- 担当者
- 対応期限
- 保留事項
- 次回の予定
特に注意したいのが、発言内容と決定事項の区別です。
会議では、「この案がよいのではないか」という提案と、「この案に決定する」という結論が混在します。ChatGPTが両者を区別できないと、提案段階の内容を決定事項として記載する可能性があります。
そのため、プロンプトには次のような条件を加えます。
「提案、検討中の内容、最終決定を明確に区別してください。明確に合意された内容だけを決定事項に記載してください」
また、不明な情報を推測させないことも重要です。
担当者や期限が明確でない場合、文章の流れから補完されることがあります。しかし、議事録では推測による補完がトラブルにつながります。
「担当者や期限が不明な場合は、推測せず『未定』と記載してください」と指示しましょう。
読みやすさを高めるには、箇条書きや表形式などの出力形式も指定します。
発言の経緯を残したい場合は文章形式、決定事項やタスクを確認したい場合は表形式が適しています。社内共有用であれば、最初に結論を置き、その後に詳細を記載する構成も効果的です。
さらに、雑談や重複した発言を省く基準も伝えます。
「挨拶、相づち、言い直し、議題に関係のない雑談は省いてください」と指定すれば、議事録に不要な情報を減らせます。
3.音声・メモから整理する議事録プロンプト例
ここからは、実際の業務で使えるプロンプト例を紹介します。
文字起こし全文から議事録を作るプロンプト
「以下の会議の文字起こしから、社内共有用の議事録を作成してください。
出力項目は、会議概要、議題、議論の要点、決定事項、担当者、期限、保留事項、次回までの対応事項とします。
提案と最終決定を区別し、明確に合意された内容だけを決定事項に記載してください。担当者や期限が不明な場合は、推測せず『未定』と記載してください。
挨拶、相づち、言い直し、重複した発言、議題に関係のない雑談は省いてください。
【会議情報】
会議名:
日時:
参加者:
目的:
【文字起こし】
ここに文字起こしを入力」
会議全体の情報を網羅的に整理したい場合に使えるプロンプトです。
箇条書きのメモから議事録を作るプロンプト
「以下の会議メモを基に、読みやすい議事録を作成してください。
メモの内容を、議論の要点、決定事項、未決定事項、担当者別のタスクに分類してください。メモに書かれていない内容は追加しないでください。
内容が不明確な箇所は推測せず、『要確認』と記載してください。
【会議メモ】
ここにメモを入力」
簡単なメモから議事録の下書きを作りたい場合に適しています。
文字起こしとメモを統合するプロンプト
「以下の文字起こしと会議メモを統合して、議事録を作成してください。
文字起こしを会議内容の基礎資料とし、メモは重要事項の補足として使用してください。両者の内容が矛盾する場合は、一方を選ばず『要確認事項』として記載してください。
決定事項、担当者、期限、保留事項を表形式で整理してください。
【文字起こし】
ここに文章を入力
【会議メモ】
ここにメモを入力」
複数の情報を組み合わせる場合は、矛盾した内容を勝手に統合させないことがポイントです。
決定事項とタスクだけを抽出するプロンプト
「以下の会議内容から、最終的に決定した事項と、参加者が対応するタスクだけを抽出してください。
タスクは、内容、担当者、期限、進捗確認方法の4項目に分けて表形式で整理してください。提案段階の内容は含めないでください。不明な項目は『未定』と記載してください」
会議後に実行すべき業務だけを確認したい場合に役立ちます。
出力後に修正する追加プロンプト
最初の出力が読みづらい場合は、次のような追加指示を出します。
「決定事項を冒頭に移動してください」
「議論の経緯を短くし、担当者と期限を目立たせてください」
「発言者ごとの文章ではなく、議題ごとに再整理してください」
「重複する内容を統合し、全体を800文字以内にしてください」
一度のプロンプトで完成を目指すよりも、出力を確認して修正指示を加えるほうが、使いやすい議事録に仕上がります。
4.ChatGPTで議事録を作る際の注意点とまとめ
ChatGPTで作成した議事録は、必ず人の目で確認する必要があります。
特に、人名、会社名、商品名、数字、日付、金額、担当者、期限は間違いが起こりやすい部分です。音声の文字起こしに誤りがある場合、ChatGPTも誤った情報を基に議事録を作成します。
たとえば、「15日」が「20日」と文字起こしされていれば、ChatGPTが自動的に正しい日付へ修正するとは限りません。元の録音や会議資料と照合する必要があります。
発言者の割り当てにも注意が必要です。
複数人が短い間隔で話している場合、文字起こしの段階で発言者が入れ替わることがあります。その結果、別の人の意見やタスクとして議事録に記載される可能性があります。
また、会議を録音する際は、参加者の同意や社内ルールを確認しましょう。会議内容によっては、録音や外部サービスへの入力が禁止されている場合があります。
個人情報や機密情報をそのまま入力しないことも重要です。
顧客名、住所、電話番号、未公開の商品情報、契約条件、人事情報などが含まれる場合は、氏名を記号に置き換えるなどの匿名化を行います。会社で利用する場合は、組織が定める生成AIの利用規程を優先してください。
ChatGPTは、議事録を自動的に完成させる万能な仕組みではありません。しかし、文字起こしやメモから情報を分類し、下書きを作成する作業には大きな効果を発揮します。
精度を高めるには、会議の目的、必要な項目、出力形式、決定事項の判断基準、推測を禁止する条件をプロンプトに含めることが重要です。
音声の文字起こし、会議メモ、適切なプロンプト、人による最終確認を組み合わせることで、議事録作成にかかる時間を減らしながら、社内で活用しやすい記録を残せます。


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