損したくない人必見!Python yfinanceで財務情報を取得する方法｜データ収集と投資分析

Pythonのyfinanceは、企業の詳細な財務データを取得できる便利なライブラリです。
この記事では、収益、純利益、キャッシュフロー、時価総額、PER、PBRなどのデータを収集する具体的な方法について解説します。

Code（コード）セクション

yfinanceを使用して企業の財務情報を収集する方法をサンプルコードで紹介します。収益、純利益、キャッシュフロー、時価総額、PER、PBRといった財務指標を含む情報の取得方法です。

yfinanceのインストールとインポート

まず、yfinanceをインストールし、Pythonコードにインポートします。

pip install yfinance
import yfinance as yf

単一銘柄の基本的な財務データの取得

損益計算書の取得

損益計算書（Income Statement）は、企業の収益や費用、利益を示す重要な財務諸表です。`yfinance`ライブラリを使用して簡単に取得できます。以下は、Apple（AAPL）の損益計算書を取得するコードです。

import yfinance as yf
# ティッカーシンボルを指定してデータを取得
ticker = yf.Ticker("AAPL")
# 損益計算書を取得
income_statement = ticker.financials
# 損益計算書を表示
print("損益計算書：")
print(income_statement)

• 売上総利益（Gross Profit）

  売上総利益は総収益（売上高）から売上原価を差し引いたもので、企業の収益性を示す指標です。

  計算式: 売上総利益 = 総収益 - 売上原価

  import yfinance as yf
# ティッカーシンボルを指定
ticker = yf.Ticker("AAPL")
# 総収益と売上原価を取得
total_revenue = ticker.financials.loc['Total Revenue'][0]
cost_of_revenue = ticker.financials.loc['Cost Of Revenue'][0]
# 売上総利益の計算
gross_profit = total_revenue - cost_of_revenue
print("売上総利益:", gross_profit)
• 営業利益（Operating Income）

  営業利益は、売上総利益から営業費用を引いたもので、企業の本業による利益を示します。

  計算式: 営業利益 = 売上総利益 - 営業費用

  # 売上総利益と営業費用を取得
operating_expense = ticker.financials.loc['Operating Expense'][0]
# 営業利益の計算
operating_income = gross_profit - operating_expense
print("営業利益:", operating_income)
• 税引前利益（Net Income Before Taxes）

  税引前利益は、営業利益から支払利息を差し引いた後の利益です。

  計算式: 税引前利益 = 営業利益 - 支払利息

  # 支払利息を取得
interest_expense = ticker.financials.loc['Interest Expense'][0]
# 税引前利益の計算
net_income_before_taxes = operating_income - interest_expense
print("税引前利益:", net_income_before_taxes)
• 純利益（Net Income）

  純利益は、税引前利益から法人税を差し引いたもので、企業の最終的な利益を示します。

  計算式: 純利益 = 税引前利益 - 法人税

  # 法人税を取得
income_tax_expense = ticker.financials.loc['Income Tax Expense'][0]
# 純利益の計算
net_income = net_income_before_taxes - income_tax_expense
print("純利益:", net_income)
• EBITDA（利払い・税金・減価償却前営業利益）

  EBITDAは、企業のキャッシュフローを見るために利用される指標で、利息、税金、減価償却費を加えた利益です。

  計算式: EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + 支払利息

  # 減価償却費と支払利息を取得
depreciation_amortization = ticker.financials.loc['Depreciation & Amortization'][0]
# EBITDAの計算
ebitda = operating_income + depreciation_amortization + interest_expense
print("EBITDA:", ebitda)
• 1株当たり利益（EPS）

  EPSは、純利益を発行済株式数で割ったもので、1株あたりの収益力を示します。

  計算式: EPS = 純利益 / 発行済株式数

  # 発行済株式数を取得
shares_outstanding = ticker.info['sharesOutstanding']
# EPSの計算
eps = net_income / shares_outstanding
print("1株当たり利益 (EPS):", eps)

貸借対照表の取得

貸借対照表（Balance Sheet）は、企業の資産、負債、純資産を示す財務諸表です。以下のコードを使って、貸借対照表データを取得できます。

# 貸借対照表を取得
balance_sheet = ticker.balance_sheet
# 貸借対照表を表示
print("貸借対照表：")
print(balance_sheet)

• 総資産（Total Assets）

  総資産は、企業が保有するすべての資産の合計を表します。

  import yfinance as yf
# ティッカーシンボルを指定
ticker = yf.Ticker("AAPL")
# 貸借対照表から総資産を取得
total_assets = ticker.balance_sheet.loc['Total Assets'][0]
print("総資産:", total_assets)
• 総負債（Total Liabilities）

  総負債は、企業が負っているすべての負債の合計を表します。

  # 貸借対照表から総負債を取得
total_liabilities = ticker.balance_sheet.loc['Total Liabilities'][0]
print("総負債:", total_liabilities)
• 株主資本（Total Stockholder Equity）

  株主資本は、企業の純資産であり、総資産から総負債を差し引いたものです。

  計算式: 株主資本 = 総資産 - 総負債

  # 貸借対照表から株主資本を取得
stockholder_equity = ticker.balance_sheet.loc['Total Stockholder Equity'][0]
print("株主資本:", stockholder_equity)
• 現金および現金同等物（Cash And Cash Equivalents）

  企業がすぐに利用できる現金や、短期間で現金化できる資産の合計です。

  # 貸借対照表から現金および現金同等物を取得
cash_and_cash_equivalents = ticker.balance_sheet.loc['Cash And Cash Equivalents'][0]
print("現金および現金同等物:", cash_and_cash_equivalents)
• 売掛金（Net Receivables）

  売掛金は、企業が顧客に対して持っている未回収の売上債権を示します。

  # 貸借対照表から売掛金を取得
net_receivables = ticker.balance_sheet.loc['Net Receivables'][0]
print("売掛金:", net_receivables)
• 棚卸資産（Inventory）

  棚卸資産は、販売のために保有している商品や原材料などの資産です。

  # 貸借対照表から棚卸資産を取得
inventory = ticker.balance_sheet.loc['Inventory'][0]
print("棚卸資産:", inventory)
• 短期負債（Current Liabilities）

  短期負債は、1年以内に支払う必要のある負債の合計です。

  # 貸借対照表から短期負債を取得
current_liabilities = ticker.balance_sheet.loc['Current Liabilities'][0]
print("短期負債:", current_liabilities)
• 長期負債（Long Term Debt）

  長期負債は、1年以上の返済期間がある負債の合計です。

  # 貸借対照表から長期負債を取得
long_term_debt = ticker.balance_sheet.loc['Long Term Debt'][0]
print("長期負債:", long_term_debt)
• 純資産（Net Assets）

  純資産は、総資産から総負債を引いたものです。これは企業の純粋な資産額を示します。

  計算式: 純資産 = 総資産 - 総負債

  # 純資産の計算
net_assets = total_assets - total_liabilities
print("純資産:", net_assets)

キャッシュフロー計算書の取得

キャッシュフロー計算書（Cash Flow Statement）は、企業の現金収支に関する情報を示します。以下のコードを使ってキャッシュフロー計算書を取得します。

# キャッシュフロー計算書を取得
cash_flow = ticker.cashflow
# キャッシュフロー計算書を表示
print("キャッシュフロー計算書：")
print(cash_flow)

• 営業活動によるキャッシュフロー（Operating Cash Flow）

  企業の営業活動から得られた現金収支で、コアなビジネスによるキャッシュフローを示します。

  import yfinance as yf
# ティッカーシンボルを指定
ticker = yf.Ticker("AAPL")
# キャッシュフロー計算書から営業活動によるキャッシュフローを取得
operating_cash_flow = ticker.cashflow.loc['Operating Cash Flow'][0]
print("営業活動によるキャッシュフロー:", operating_cash_flow)
• 投資活動によるキャッシュフロー（Investing Cash Flow）

  投資活動（例：設備投資や資産売却）による現金収支を示します。

  # キャッシュフロー計算書から投資活動によるキャッシュフローを取得
investing_cash_flow = ticker.cashflow.loc['Investing Cash Flow'][0]
print("投資活動によるキャッシュフロー:", investing_cash_flow)
• 財務活動によるキャッシュフロー（Financing Cash Flow）

  財務活動（例：株式発行や借入金の返済）による現金収支を示します。

  # キャッシュフロー計算書から財務活動によるキャッシュフローを取得
financing_cash_flow = ticker.cashflow.loc['Financing Cash Flow'][0]
print("財務活動によるキャッシュフロー:", financing_cash_flow)
• キャッシュフローの純増減（Net Cash Flow）

  営業活動、投資活動、財務活動のキャッシュフローの合計で、期間内のキャッシュフローの純増減を示します。

  計算式: キャッシュフローの純増減 = 営業活動によるキャッシュフロー + 投資活動によるキャッシュフロー + 財務活動によるキャッシュフロー

  # キャッシュフローの純増減の計算
net_cash_flow = operating_cash_flow + investing_cash_flow + financing_cash_flow
print("キャッシュフローの純増減:", net_cash_flow)
• 資本的支出（Capital Expenditures）

  企業が設備や資産に投資するために支出した費用を示します。

  # キャッシュフロー計算書から資本的支出を取得
capital_expenditures = ticker.cashflow.loc['Capital Expenditures'][0]
print("資本的支出:", capital_expenditures)
• フリーキャッシュフロー（Free Cash Flow）

  営業活動によるキャッシュフローから資本的支出を差し引いたもので、企業が自由に使えるキャッシュフローを示します。

  計算式: フリーキャッシュフロー = 営業活動によるキャッシュフロー - 資本的支出

  # フリーキャッシュフローの計算
free_cash_flow = operating_cash_flow - capital_expenditures
print("フリーキャッシュフロー:", free_cash_flow)

Appleの収益や純利益の情報を取得する例です。

ticker = yf.Ticker("AAPL")
income_statement = ticker.financials
print("収益:", income_statement.loc["Total Revenue"])
print("純利益:", income_statement.loc["Net Income"])

時価総額、PER、PBRなどの財務指標の取得

株式投資に役立つ時価総額やPER、PBRの情報を取得します。

info = ticker.info
print("時価総額:", info["marketCap"])
print("PER:", info["trailingPE"])
print("PBR:", info["priceToBook"])

5. 取得したデータの整形・加工

Pandasと連携し、取得したデータを扱いやすいデータフレーム形式で整形します。

import pandas as pd
df = pd.DataFrame(ticker.financials)
print(df.T) # 行列を転置して見やすく表示

Use Case（ユースケース）セクション

yfinanceを使って企業の財務データを収集することが役立つシナリオを具体的に紹介します。投資分析における利用方法とデータの取得例を説明します。

1. 企業の財務状況や成長性の分析

企業の成長を判断するために、収益や純利益の推移を調べます。

income_statement = ticker.financials
print("収益の推移:", income_statement.loc["Total Revenue"])
print("純利益の推移:", income_statement.loc["Net Income"])

財務指標を定期的に収集し、投資判断をサポート

PER、PBRなどの指標を定期的に取得して監視し、投資判断のサポートに役立てる方法です。

info = ticker.info
print("時価総額:", info["marketCap"])
print("PER:", info["trailingPE"])
print("PBR:", info["priceToBook"])

PandasやMatplotlibとの連携

PandasやMatplotlibを使い、収益や純利益の推移を可視化します。

株価データの取得と可視化

# ティッカーシンボルの設定とデータ取得
ticker_symbol = "AAPL"
ticker = yf.Ticker(ticker_symbol)
# 過去1年間の株価データを取得
data = ticker.history(period="1y")
# 株価の終値をプロット
plt.figure(figsize=(10, 5))
plt.plot(data.index, data['Close'], label='終値')
plt.title("Appleの株価推移（過去1年）")
plt.xlabel("日付")
plt.ylabel("株価（USD）")
plt.legend()
plt.grid()
plt.show()

3. 売上成長率の計算とプロット

損益計算書から売上成長率を計算し、過去数年間の成長率を棒グラフでプロットします。

# 損益計算書のデータを取得
income_statement = ticker.financials
# 売上成長率の計算
revenue = income_statement.loc['Total Revenue']
revenue_growth = revenue.pct_change() * 100 # 前年比成長率（%）
# 売上成長率をプロット
plt.figure(figsize=(10, 5))
revenue_growth.plot(kind='bar', color='skyblue')
plt.title("Appleの売上成長率（前年比）")
plt.xlabel("会計年度")
plt.ylabel("売上成長率（%）")
plt.grid(axis='y')
plt.show()


4. 営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローの比較

キャッシュフロー計算書から営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローを取得し、折れ線グラフで比較します。

# キャッシュフロー計算書のデータを取得
cash_flow = ticker.cashflow
# 営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローの抽出
operating_cash_flow = cash_flow.loc['Operating Cash Flow']
capital_expenditures = cash_flow.loc['Capital Expenditures']
free_cash_flow = operating_cash_flow + capital_expenditures
# 営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローをプロット
plt.figure(figsize=(10, 5))
plt.plot(operating_cash_flow.index, operating_cash_flow, label="営業キャッシュフロー", marker='o')
plt.plot(free_cash_flow.index, free_cash_flow, label="フリーキャッシュフロー", marker='o')
plt.title("Appleのキャッシュフロー（過去数年）")
plt.xlabel("会計年度")
plt.ylabel("キャッシュフロー（USD）")
plt.legend()
plt.grid()
plt.show()


Information Type（取得可能な情報の種類）セクション

yfinanceで取得できる財務データの詳細な情報について、各情報タイプの具体例を挙げて説明します。

基本的な財務データ

収益や純利益などの企業財務情報を取得する方法です。

financials = ticker.financials
print("収益:", financials.loc["Total Revenue"])
print("純利益:", financials.loc["Net Income"])

拡張的な財務指標

時価総額、PER、PBRなど、企業の価値や投資判断に役立つデータも取得できます。

info = ticker.info
print("時価総額:", info["marketCap"])
print("PER:", info["trailingPE"])
print("PBR:", info["priceToBook"])

特定期間のキャッシュフローや利益率

特定期間のキャッシュフローや利益率の推移を確認します。

cashflow = ticker.cashflow
print("営業キャッシュフロー:", cashflow.loc["Total Cash From Operating Activities"])
print("フリーキャッシュフロー:", cashflow.loc["Free Cash Flow"])

Steps（手順）セクション

yfinanceを用いた財務データの詳細情報の取得方法について、初心者でもわかりやすい手順を説明します。

yfinanceのインストール方法

yfinanceをインストールするには以下のコマンドを使用します。

pip install yfinance

まとめ

新NISAのスタートで投資に興味を持つ方も多いと思います。yfinanceは、企業の財務データを手軽に収集・分析できる強力なツールです。
本記事のサンプルコードを参考に、収益やキャッシュフローなどの詳細データを取得し、投資判断に役立ててください。