
pywinautoでのマウス操作とは?
pywinautoは、Windows上のアプリケーションを自動化するためのPythonライブラリです。
pywinautoを使うと、マウスのクリックやスクロール、ドラッグなど、通常手動で行う操作をプログラムで簡単に実行できます。
本記事では、pywinautoでのマウス操作について解説していきます。
この記事で得られるもの:
- マウス操作で使用するメソッドの使い方
- メソッドで指定できる引数が分かる
pywinautoを使ったマウス操作の基本と詳細
pywinautoには、マウス操作を実現するための便利なメソッドが用意されています。
以下の主要なメソッドを紹介します。
- move: マウスポインタを指定の座標へ移動
- press: マウスボタンを押す
- release: マウスボタンを放す
- scroll: ホイールスクロールを実行
- wheel_click: マウスホイールのボタンをクリック

この記事では、これらの5つのメソッドの概要、基本的な使い方、指定できる引数について紹介します。
moveメソッド
move
メソッドは、マウスカーソルを指定した座標へ移動させるためのメソッドです。
クリックは行わず、カーソルの移動のみを実行するため、GUIテストや自動化においてホバー動作のシミュレーションに活用できます。
moveメソッドの基本的な使い方
move
メソッドを使用してカーソルを移動させます。
【基本例】 画面上の座標(100, 200)へマウスカーソルを移動
from pywinauto import mouse
# 画面全体の座標(100, 200)へ移動
mouse.move(coords=(100, 200))
moveメソッドの引数
move
メソッドには、以下の引数を指定できます。
引数 | 説明 |
---|---|
coords |
移動先の座標を (x, y) のタプルで指定(デフォルト: None) |
duration |
移動にかける時間(秒)。省略時は瞬時に移動。 |
absolute |
True(デフォルト)で画面全体の座標、Falseでウィンドウの相対座標を指定 |
pressメソッド
press
メソッドは、マウスボタンを押し続けるためのメソッドです。
通常のクリックとは異なり、ボタンを押したままにするため、ドラッグ操作や長押しが必要な場合に役立ちます。
pressメソッドの基本的な使い方
press
メソッドを使用してマウスボタンを押し続けます。
【基本例】マウス左ボタンを押し続ける
from pywinauto import mouse
# 画面座標(200, 300)でマウスの左ボタンを押し続ける
mouse.press(button='left', coords=(200, 300))
pressメソッドの引数
press
メソッドには、以下の引数を指定できます。
引数 | 説明 |
---|---|
button |
押すボタンを指定 |
coords |
マウスを押す座標 (x, y) のタプル(デフォルト: None) |

button引数では、left, right, middle を指定することが出来ます。
releaseメソッド
release
メソッドは、押し続けたマウスボタンを離す(リリースする)ためのメソッドです。press
メソッドと組み合わせることで、ドラッグ&ドロップ操作などを自動化できます。
releaseメソッドの基本的な使い方
release
メソッドを使用してマウスボタンを離します。
【基本例】マウス左ボタンを離す
from pywinauto import mouse
# 現在押されている左ボタンを離す
mouse.release(button='left')
releaseメソッドの引数
release
メソッドには、以下の引数を指定できます。
引数 | 説明 |
---|---|
button |
離すボタンを指定 |
coords |
マウスボタンを離す座標 (x, y) のタプル(デフォルト: None) |

button引数では、left, right, middle を指定することが出来ます。
scrollメソッド
scroll
メソッドは、マウスホイールを回転させるためのメソッドです。
スクロール量を指定して、画面上のリストやWebページ、ドキュメントなどのスクロール操作を自動化できます。
scrollメソッドの基本的な使い方
まず mouse
モジュールをインポートし、scroll
メソッドを使用してマウスホイールを操作します。
【基本例】マウスホイールを上方向にスクロール
from pywinauto import mouse
# 3単位分スクロール(上方向)
mouse.scroll(wheel_dist=3)
【基本例】マウスホイールを下方向にスクロール
from pywinauto import mouse
# 5単位分スクロール(下方向)
mouse.scroll(wheel_dist=-5)
scrollメソッドの引数
scroll
メソッドには、以下の引数を指定できます。
引数 | 説明 |
---|---|
wheel_dist |
スクロール量を指定(正の値は上方向、負の値は下方向) |
coords |
スクロールを実行する座標 (x, y) のタプル(デフォルト: None) |

wheel_dist引数では、正の値で上方向、負の値で下方向にスクロールします。
wheel_clickメソッド
wheel_click
メソッドは、マウスホイールボタン(中央ボタン)をクリックするためのメソッドです。通常のクリックとは異なり、ブラウザのタブ操作や3Dソフトの視点操作など、ホイールクリック特有の動作を自動化できます。
wheel_clickメソッドの基本的な使い方
wheel_click
メソッドを使用してマウスホイールクリックを実行します。
【基本例】マウスホイールをクリック
from pywinauto import mouse
# 現在のカーソル位置でホイールクリック
mouse.wheel_click()
wheel_clickメソッドの引数
wheel_click
メソッドには、以下の引数を指定できます。
引数 | 説明 |
---|---|
coords |
ホイールクリックを実行する座標 (x, y) のタプル(デフォルト: None) |
公式ドキュメント
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